March 7, 2024

APACのサステナビリティ動向:企業の取締役会が知るべき2024年の展望

(当ブログは、2024 年 2月 28 日にモロー・ソダリが発表した英文ブログの日本語訳です。)

国際社会はサステナビリティへの注力を強めており、アジア太平洋(APAC)地域は、ビジネスの未来を形作る極めて重要なトレンドの最前線に立っています。この地域では、消費者の嗜好の変化から規制改革に至るまで、サステナビリティ課題に取り組む組織に影響するダイナミックな変化が生じています。2024年には、APAC企業の取締役会は、時代の先端を走り続けために新たなトレンドに目を光らせ、そして無数のリスクを回避するために有意義なインパクトをもたらさなければなりません。例えば、今年注目すべきサステナビリティの主要トレンドには、このようなものがあります:

1. 循環型経済への取り組み

近年、循環型経済の概念はAPAC全域で大きな支持を集めており、事業においても廃棄物を最小限に抑え、資源利用を最適化しようとする動きがあります。製品の再利用、リサイクル、再生、EOL(end-of-life)デザインを重視した循環型ビジネスモデルを採用する企業が増えています。この傾向は、エレクトロニクス、自動車、動きの速い消費財などの業界で特に顕著です。企業が効率性を高め、競争上の優位性を維持し、環境フットプリントを削減するためには、取締役会は、循環型業務方式を事業の中に組み込むことの実現可能性を評価する必要があります。

2. グリーン・ファイナンスとサステナブル投資

APAC地域では、国の政策と投資家需要の双方に後押しされ、グリーンファイナンスやサステナブル投資が大きく拡大しています。中国、日本、シンガポールを重要拠点として、サステナブルボンド、グリーンローン、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資が急成長を遂げています。取締役会は、資本市場へのアクセスや投資誘致におけるESG要素の重要性を認識しなければなりません。サステナビリティ指標を財務報告に組み込み、ESG状況を開示することは、投資家の信頼を維持し、資金を確保する上で極めて重要です。

3. 再生可能エネルギーへの移行

APACのほとんどの国で二酸化炭素排出量の削減・気候変動対策への取り組みが進む中、再生可能エネルギーへの移行が加速しています。政府のサポートや再生可能エネルギーコストの低下に支えられ、太陽光、風力、水力発電のプロジェクトが急増しているのです。取締役会は今年、規制遵守、技術進歩、エネルギー安全保障などの観点から、再生可能エネルギー導入に関するリスクと機会を評価しなければなりません。再生可能エネルギーインフラへの投資や、クリーンエネルギーソリューションを事業運営に取り入れることは、レジリエンスと競争力の強化に繋がります。

4. サプライチェーンの回復力と透明性

新型コロナ・パンデミックはグローバル・サプライチェーンの脆弱性を露呈し、企業に調達戦略の見直しとサプライチェーン回復優先の戦略を迫りました。APACでは、倫理的慣行、気候変動リスク、規制要件に対する懸念に促されて、透明でサステナブルなサプライチェーン構築の機運が高まっています。取締役会は、透明性、追跡可能性(トレーサビリティ)、責任ある調達慣行を強化するために、サプライチェーン・パートナーと緊密に協力する必要があります。ブロックチェーンなどのデジタル技術を取り入れることで、複雑な供給ネットワークにおけるリアルタイムの可視性と説明責任を促進することも可能です。

5. サステナビリティのためのデジタル化

デジタル技術は、データ主導の意思決定、業務の効率化、イノベーションを可能にし、APAC全域でサステナビリティ目標を推進する上で極めて重要な役割を果たしています。人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)、ビッグデータ分析によって、企業は資源の利用を最適化し、廃棄物を最小限に抑え、環境への影響を軽減することができます。取締役会は、スマートマニュファクチャリング、エネルギー管理システム、サステナブルな製品設計など、サステナビリティ目標に沿ったデジタル化の取り組みを優先しなければなりません。デジタルツールの活用は、コスト削減、生産性の向上、サステナブルな成長の促進に繋がります。

6. 社会的インパクトとステークホルダー・エンゲージメント

相互の結びつきが強まる世の中で、企業は社会課題への対応や多様なステークホルダーとの関わりを強く求められています。APAC企業は、地域社会との関わりやインクルーシブなビジネス慣行といった、サステナブルな取り組みの重要性を認識しつつあります。取締役会は、従業員、顧客、地域社会、支援団体などのステークホルダーの期待を積極的に評価し、それに応えていかなければなりません。社会的インパクトへの配慮を事業戦略や意思決定に組み込むことで、企業は信頼を築き、評判を高め、社会のための共有価値を創造することができるのです。

7. 規制状況とコンプライアンス

オーストラリアを除くAPAC全域の政府は、サステナビリティ課題に効果的に取り組むため、より厳格な環境規制の制定、施行を始めています。カーボンプライシング制度や拡大生産者責任(EPR)の枠組みなど、変化する複雑な規制状況に企業は直面しています。取締役会は、規制動向を常に把握し、コンプライアンス・リスクを評価し、更にコーポレート・ガバナンス体制にサステナビリティを組み込む必要があります。業界団体、政策当局、市民社会との協力は、規制の方向性を形成し、サステナビリティ実践のためのビジネス環境を促進するのに役立ちます。

結論として言えることは、サステナビリティは、進化するステークホルダーの期待、投資家の要求、規制の圧力に後押しされ、APAC地域で事業を展開する企業にとって依然として重要な課題である、ということです。取締役会は今年、これらの重要なトレンドを受け入れ、サステナビリティへの配慮を戦略的意思決定プロセスに組み込む必要があります。環境、社会、ガバナンスの課題に積極的に取り組むことで、企業はレジリエンスを高め、イノベーションを推進し、ダイナミックなAPAC市場のステークホルダーのために長期的な価値を創造することができるのです。

原文はこちら

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